パリからTGVで3時間半、南仏、ラングドック地方の中心地モンペリエにはファーブル美術館というかなり大きな美術館があります。
ファーブルというとすぐに『昆虫記』で有名なファーブルを思い浮かべる人が多いと思いますが、この美術館のファーブルは18世紀から19世紀にかけて活躍したモンペリエ生まれの画家フランソワ・クサヴィエ・ファーブルFrançois-Xavier Fabre(1766-1837)です。この美術館は1825年に彼がモンペリエ市に寄贈した膨大なコレクションがもとになっています。
代表的な作品としてはクールベCourbetの『こんにちは、クールベさん』Bonjour Monsieur Courbetです。
17世紀スペインの宗教画家ツルバランZurbarán、18世紀フランスの画家ダヴィッドDavid、グルーズGreuze、19世紀のモンペリエ生まれで印象派の先駆者バジールBazilleなど、絵画で2000点、彫刻で300点、デッサンが4000点、版画が1500点と、フランスでも所蔵点数が多い美術館の一つです。2003年から2007年にかけて改装されました。
モンペリエは南仏ラングドック地方の中心都市です。モンペリエ大学はフランスで最初にできた医学部で有名です。16世紀の詩人・預言者でもあったノストラダムスが在籍したことでも知られています。また、フランソワ・ラブレーもここの医学部出身です。
モンペリエは近年大きく変貌を遂げて街中にトラムも走るようになりましたが、40年ほど前はまだ、地方の都市の一つに過ぎない存在でした。その頃、2ヶ月ほど夏の間に語学研修で滞在しましたが、当時のファーブル美術館はなんと入館料が無料でした。そのため、時間があるときはよく美術館に行っていました。なかにグルーズの部屋があり、この美術館が所蔵する9点の作品が展示されていました。写真はその時に撮ったものです。この時の少年の印象が強かったせいで、ルーヴル美術館でグルーズの作品を見たときには同じ画家の作品かと驚いた記憶があります。
美術館では絵葉書も販売していました。買おうと思って手にしてみたら、裏の説明が日本語で驚いた記憶もあります。少し前に日本で展覧会があり、モンペリエのファーブル美術館からも何点か出展していた時に販売していたものの売れ残りを美術館でも販売していたのだと思います。今でいうSDGsなのでしょうか。
MH