ジャンピとキシジョ の 「パリのパン屋さんの話」

ジャンピ(ジャン=ピエール・ムサロン、パリジャン、元銀行員、不動産業)  キシジョ(キシ・ジョー、日本人、パリ在住33年)  GK(私、日本人、頻繁にパリに行く、二人の話の聞き役) がカフェでいつも話していたフランスの世相や習慣についてのこと。

 

日本ではパティシエという言葉が流行っていて、道を行く女の子に将来何になりたい?、と聞けば、幼稚園児から高校生まで、パティシエ、と言う、という話をキシジョと話していたのだが、それを横で聞いていたジャンピが「パティシエというのはフランス語だけどよ、日本にもフランスのようなパティスリがあるのかよ」と、口を少し曲げてやや皮肉な口調で光る頭をさらに光らせて聞いてくる。

キシジョは「もちろんある。フランスではこのごろパティスリとブーランジュリが一緒になっているものばかりで、そうでもしないと売り上げは上がらないよな。でもよ、俺の知り合いのブーランジェは最近サン・ラザール駅の裏手に売りに出してたブーランジュリを買ったというんだ。でその値段57万ユーロ(日本円で6,000万円)くらいだったというが、それで元がとれるものかなぁ」と。

そこでジャンピがすかさず「それは大丈夫。結構うまく営業できるものだと言うぜ。というのは、毎日来てくれる客はバゲット1本なんてこともあるけど、近くの学校やレストランなどに卸すと数がはけて、かなり売れていくものだよ。 それにバゲットなどある程度公定レートになっていて、もっとも、日本人は米が主食だと言って、これ無くては生きられないようなこと言うけど、フランスではパンは主食とは言えないが、それでも食事の時の付き物だからな、国も大事な食料、という見方をしているのさ」といつものように額に皺を造りながら雄弁に話すジャンピだ。

「ところでよ、パリには600軒くらいのパン屋があるっていうけど、どこもマダムが店に立ってそこの主人は地下や店の裏で黙々とパンを作るというのが基本的なパターンだよな。でそのマダムというのはだいたい気が強くてよく喋るのばかりだな」とキシジョ。「全くそうそう、このごろブーランジュリのチェーン店が幅を利かせているけど、それを除けばまずそうだな」

「で、いまバゲットはいくらか知ってるかぁ」とキシジョが尋ねる。 「俺もまず行かないものな、知らねーよ」、などと言い合っている。「1ユーロちょっとじゃないの、そんなものだよ。」

「ところでよジャンピ、今朝お前何食べてきたんだよ」。 「俺は朝食べないよ、カフェ一杯だけさ」。「それじゃパンとは関係の無い生活じゃないのか」。 「そ、時々コーンフレークを食べたりするよ。これアメリカ人のやることかぁ。あんなまずいものばかり食べているアメリカ人と一緒にされたくはないけどな」 「でもよ、フランス人ひとり1日のパン消費量はバゲット半分弱ほどだというぜ、ってことはみんな結構食べてるんだよな。俺も昼や夜はほんの少しちぎって食べてるからな」「ほらみろ、やっぱりお前はあたりまえのフランス人じゃないかよ」

GK

 

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